10月17日(現地時間)、2018パラ卓球世界選手権がZlatorong Arena(スロベニア・ツェリェ)で開幕。54カ国・地域の325名の選手が集まり、男子は11クラス、女子は10クラスそれぞれの世界一を決める。日本からは男子7名、女子9名が出場する。大会初日、世界ランキング17位で18歳の友野有理(兵庫県立伊川谷高校 )がリオパラリンピック3位のMedina Jesephine(フィリピン)を1-3で下し、劇的勝利を収めた。また、男子クラス9では岩渕幸洋(協和発酵キリン)が世界ランキング5位のD.Gustafsson(スウェーデン)を0-2から逆転勝ちした。
大学3年生の姉稜子さん(右)は妹をきっかけに理学療法士を目指す
「(今日の試合は)強気でいった。お世話になった方々に感謝の気持ちと姉もそばで応援してくれていたので一人で戦っているのではなく、みんなで戦った」
友野は2000年5月1日に神戸で生まれた。「姉がお墓参りの帰りに寄る温泉卓球をきっかけに近所の卓球クラブに習い始めて、私もついて行ったのが最初」と姉の影響で5歳から卓球を始めた。小学5年生の時に名古屋で行われた大会の試合中に脳梗塞で倒れ、利き手の右半身が麻痺した。
国際大会で初めてコーチとして帯同した姉の稜子さんは「医師からは死んでもおかしくないと言われ、入院当初は声も出なかった」と話すが、友野は「(意識を取り戻した3日後で)病気の深刻さは分かっておらず、声は出なかったが試合に行かないといけなと思った」と卓球が頭から離れなかった。
10月13日にインドネシア・ジャカルタで閉幕したアジアパラ競技大会で銅メダルを獲得し、弾みをつけた今大会だった。
「決勝トーナメントに行くためには大事な一戦」と話すようにグループリーグ初戦はアジアパラ競技大会で銀メダルを獲得した格上のMedinaだった。1セット目は相手の回転がかからないラバーに対応ができず8-11と落としてしまう。
「まつ・面・タイミング。ミスした時は悩むのではなくこの3つのどこかがいけない」
友野は手に書いたこの3つを見て、試合中に確認し修正した。1セット目は「待つ」ことをしてきたが、
2セット目以降は高いボールを積極的に左フォアハンドで強く打つことを心がけ、4-11、5-11、7-11と主導権を握ったまま勝利した。明日勝てば決勝トーナメント進出が決まる試合に向けて、こう語った。
「勝てた事は嬉しい。自分にできることを精一杯して、からまわりしすぎたないように全力で頑張っていきたい」
【日本人結果一覧(大会1日目)】
男子クラス6
七野一輝 0-3 B.Simion(ルーマニア)
男子クラス9
鈴木伸幸 0-3 L.Devos(ベルギー)
岩渕幸洋 3-2 D.Gustafsson(スウェーデン)
クラス11(知的)
竹守彪 3-1 D.Fira(ポーランド)
加藤耕也 3-0 K.Gayfullin(ロシア)
女子クラス3
茶田ゆきみ 1-3 Q.Li(中国)
女子クラス8
友野有理 3-1 J.Medina(フィリピン)
廣兼めぐみ 0-3 J.Mao(中国)
女子クラス9
石河惠美 0-3 N.Kavas(トルコ)
女子クラス10
工藤恭子 0-3 M.Tapper(オーストラリア)
竹内望 0-3 B.Costa alexandre(ブラジル)
女子クラス11
美遠さゆり 3-0 L.Ferney(フランス)
伊藤槙紀 2-3 N.Kosmina(ウクライナ)
(文、撮影・岡川武和)