2019年10月19日
車いすラグビーワールドチャレンジ2019
日本は豪州に1点差で惜敗、決勝進出を逃す
ライリー・バットを押さえ込もうとする乗松聖矢(中央)
先月、9月に韓国で行われた「2019 IWRF 車いすラグビーアジアオセアニア選手権大会」で2度の対戦をした両者。予選ラウンドでは4回に及んだ延長戦を制し劇的勝利をおさめた日本だったが、再びの対戦となった決勝の舞台では2点差で敗れ日本は準優勝に終わった。その雪辱を果たすべくコートに現れた日本。選手たちは凛々しい表情で試合開始の時を迎えた。
第1ピリオド、池透暢と島川慎一の入るハイローラインでスタートした日本。対するオーストラリアも、世界No.1プレーヤーと称されるライリー・バット擁するハイローラインで挑んでくる。先制トライを決めた日本は、その直後、オーストラリアのインバウンドをカットしてターンオーバーを奪い連続ポイント。その後、オーストラリアにターンオーバーを許すも、両者一歩も譲らぬタフな展開が続く。日本は、今井友明がいち早くトライラインに走って得点するローポインターの活躍も見られる。一方のオーストラリアはキーエリアでのディフェンスを多用し、体力を温存させながら試合を進めていく。
15-15で迎えた第2ピリオド、激しいプレッシャーと運動量の多いハードな攻防が繰り広げられる。日本は4つのタイムアウトを使い切るなど苦しい状況を強いられるが、最後まであきらめない強い気持ちは決して切れることがない。26-28でハーフタイムを迎えた。
「1、2、3、日本！」ともう一度、心を一つにしてゲームに戻る日本。
両者の勝ちへの思いがぶつかり合い、試合はさらにヒートアップしていく。ライリー・バットのタイヤが吹き飛ぶほどの激しいプレーの連続。日本ベンチからは仲間を鼓舞する声。「走ッテ！モット走ッテ！」というケビン・オアーヘッドコーチの叫びがコートに響く。冷静さを失わない日本は、密集からこぼれ出たボールを島川が拾ってトライ。40-40に持ち込み、最終ピリオドへとつないだ。
「勝ちたい」という思いは会場をも巻き込む。声援も一段と大きくなる。第4ピリオド序盤でターンオーバーを許した日本は、必死で1点を追いかける。池も、池崎も、乗松聖矢も…全員がありったけの力で車いすを漕ぐ。2分、1分…と残り時間は減っていくが、それでも最後までくらいつく日本の姿勢は変わらない。あきらめない強い思いを貫いた日本だったが、試合終了を知らせるブザーが無情にも響く。得点ボードが表示したのは56-57。力の限り戦った戦士は大きくうなだれ、唇を噛みしめ、悔し涙を浮かべた。
攻守にわたりアグレッシブなプレーでチームを支えた乗松は試合後、「結果では負けたが、オーストラリアが手強いとは思っていない。ベンチも含めてチーム一丸となって戦えたと思う」と語り、池崎大輔もまた「最後まで全力で勝ちにこだわりながら立ち向かって行けた。闘争心むき出しにしてチームとして戦えた」と日本のチーム力を誇った。
会場の大声援を味方につけ、日本は20日、イギリスとの3位決定戦に臨む。
（文・張 理恵、撮影・竹内圭/湯谷夏子）
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