前半、最大の武器であるディフェンスでオーストラリアの攻撃を封じた日本。
6月16日(現地時間)、2017IWBF男子U23世界車椅子バスケットボール選手権大会(カナダ・トロント)、日本は3位決定戦でオーストラリアと対戦し、66-71で敗れ、3大会ぶりのメダル獲得とはならなかった。それでも当初の目標だった「5位」を上回る「世界の4位」となったことは、日本の車椅子バスケットボール界において快挙といえる結果だ。
前日、イギリスに完敗を喫した日本は、その悔しさを晴らすかのように、第1Qから躍動した。高い位置からプレスをかけていく日本のディフェンスに、オーストラリアは苦戦。パスミスや、イージーショットを落とすなど、リズムをつくることができない。特に、スリーポインターであるエースが封じられ、オフェンスの糸口をつかめずにいた。
こうしてディフェンスで主導権を握った日本は、古澤拓也、鳥海連志がシュートを決め、得点を重ねていった。さらに、川原凛のミドルシュートも効果的に決まり、日本は第2Qで引き離し、40-26と14点リードで試合を折り返した。
「点差は関係なく、自分たちがやることをやっていこう」
京谷和幸HCは、そう選手たちを鼓舞して、コートへと送り出したという。
後半、オーストラリアのプレスディフェンスで苦しむ日本。
ところが、後半に入り、オーストラリアがプレスディフェンスをしいてくると、日本のオフェンスにばたつきが生じ、それがディフェンスにも影響を及ぼした。気持ちの部分で押されたのか、ディフェンスラインが後ろに下がり始め、オーストラリアのハイポインターにゴール下に入られると、次々と失点を喫した。
さらに第3Q中盤、鳥海が4つ目のファウルでベンチに下がると、日本は劣勢を強いられた。連続失点を喫し、逆転を許してしまう。それでも、日本も粘りを見せ、51-51の同点で第4Qを迎えた。
その第4Q、スタートで一気に試合の流れを引き寄せたのは、オーストラリアだった。エースが日本のディフェンスの網をかいくぐり、約1分間にひとりで4連続ゴールを挙げ、あっという間に8点差とした。その後、日本も猛追し、66-69と3点差にまで詰め寄った。しかし、そこから日本のシュートはことごとくリングに嫌われ、得点を挙げることができなかった。
試合終了後、チーム最後の円陣を組む男子U23日本代表。
試合後、ミックスゾーンに現れた京谷HCは唇を噛み締めながら、しばらく電光掲示板をじっと見つめていた。
そして、こう振り返った。
「前半は、すべてプラン通りに進んで良かったと思うのですが……。後半は自分たちでゲームを壊してしまったかなと。それは、すべてHCである自分の責任。選手は最後まで本当によく戦ってくれた」
厳しいことを言えば、勝てる試合を落とし、3大会ぶりのメダルを自分たちで逃したという事実は否めない。だが、世界一を決める大舞台で、高さもパワーも上回る強豪相手に、日本は「世界の4位」となったこともまた事実だ。あとは、この経験を、若い彼らがどう今後につなげるかだ。
【大会結果一覧】
1位 イギリス
2位 トルコ
3位 オーストラリア
4位 日本
5位 ドイツ
6位 カナダ
7位 フランス
8位 イラン
9位 アメリカ
10位 イタリア
11位 ブラジル
12位 南アフリカ
(文・斎藤寿子、写真・岡川武和)