10月23日、来年8月に開催される世界選手権の出場権がかかった「2017IWBFアジアオセアニアチャンピオンシップス」(AOZ)が中国・北京で開幕。男子日本代表はグループリーグ第1戦でクウェートと対戦し、96-21で快勝し、順当に白星スタートを切った。
「自分との闘い」
試合前、及川晋平ヘッドコーチ(HC)が選手たちに掲げたテーマだ。日本にとって格下の相手に対し、どう戦うのかーー。メンタル面が試された試合は、藤本怜央、豊島英のパラリンピック経験者と、古澤拓也、秋田啓、緋田高大の日本代表公式戦デビューとなった3人のユニットでスタートした。
初戦からエンジン全開で「魅せた」のは、リオデジャネイロパラリンピックではエース、キャプテンとしてチームを牽引した藤本だ。ゴール下での迫力あるプレーで、次々と得点を積み上げた。
一方、公式戦デビューでスタメンに起用されながら、いつものように淡々とプレーし、最大の武器であるゴール下での安定感を見せたのが秋田だ。及川HCも、「秋田があれだけ自分のプレーをきちんとやってくれたというのは、チームにとっても非常に大きい意味を持つ」と高く評価した。
そして第2Qで「さすが」のプレーを披露したのは、日本人で唯一プロとして活躍する香西宏昭だった。第1Qで「次、次!」とチームメイトを鼓舞していた香西は、コート内でも常に声を出して指示を出し、チームを牽引。自らもスリーポイントを2本決めるなど、得点を量産した。第2Q、香西が外したのはスリーポイント1本のみで、7本中6本のシュートを決め、チームを勢いづけた。
この試合、日本は高いラインからプレスをかけるディフェンスではなく、スリーポイントラインまで下がってのラインディフェンスを展開。インサイドに入ろうとする相手をしっかりと止め、アウトサイドから打たせて、リバウンドを取ってからの速攻、あるいはパスカットからのカウンターで前半から相手を引き離した。
後半に入るとさらに両チームの差は大きく開いた。第3Qは27得点をあげ相手をわずか4失点に封じると、第4Qも22得点2失点と、最後まで気持ちを緩めることなく、集中して戦った日本。96-21で圧勝し、幸先いいスタートを切った。
「チームの状態は、とても良くなってきていると感じている。ただ、結果を出さなければ、本当に良いとは言えない」と及川HC。彼らが出すべく「結果」は、ただひとつ。優勝し、アジアオセアニアチャンピオンとなることだ。
次は25日、香港と対戦する。
(文・斎藤寿子、写真・岡川武和)