23日に開幕した「IWBFアジアオセアニアチャンピオンシップ」(AOZ)で女子日本代表は、予選第1戦でイランと対戦。攻守で圧倒し、86–15と快勝した。
第1Q、スタートから日本はイランを大きく引き離した。網本麻里がドライブでインサイドに入りレイアップシュートを決めると、北田千尋はオフェンスリバウンドを取り、そのままゴールにねじ込んで見せた。さらに柳本あまね、萩野真世にもゴールが生まれ、日本は26得点。
一方のディフェンスでは、高い位置からプレスでディフェンスをしいて相手にボールを運ばせず8秒バイオレーションをとるなどイランの攻撃を封じ、4失点に抑えた。
続く第2Qでは網本、北田に加えて鈴木百萌子の持ち点が4点台のハイポインター3人を揃えた布陣で臨んだ日本は、さらに22得点を追加。特に、第1Qの終盤にコートに入りながら、なかなかゴールが生まれなかった鈴木が、得意のゴール下でのシュートを決める姿は、チームの攻撃の幅を広げる意味でも大きかったに違いない。
そして第3Qでは、温存していたキャプテン藤井郁美、さらにはベテランの上村知佳、大島美香、添田智恵が登場。藤井が得意のミドルシュートを決めると、上村は高さをいかしてゴール下を支配。さらに大島、添田はレイアップシュートを鮮やかに決めてみせた。
ディフェンスでは、スリーポイントラインにまで下がり、ラインディフェンスを展開。日本の厳しいマークに、イランはインサイドを攻めることができず、苦し紛れのアウトサイドからのシュート一辺倒となった。
日本は、第4Qでも得点を重ね、86–15と大差をつけて快勝。男子と同じく、白星発進をした。
「re-creation(再創造)」。2015年、リオデジャネイロパラリンピックの出場権を逃した女子日本代表が、再建の道を歩み始めた際、橘香織ヘッドコーチ(HC)が掲げていた言葉だ。
「これまで積み上げて来た土台を使って、どう強化していき、世界と渡り合える力をつくり直していくことができるかが今後、重要なのだと考えています」
あれから2年、「チームは明らかに変わった」と橘HCは自信を見せる。まずは、真の意味で藤井と網本というダブルエースが「攻撃の軸」となったこと。と同時に、そのほかの選手の得点力が格段に上がり、攻撃の幅が広がったことで、チーム力は確実にアップした。
「誰がどういうプレーが得意なのかを共有できるようになったことで、それぞれの良さを引き出そうというようなプレーが生まれている」と橘HC。紆余曲折を経ながらここまでたどり着いたチームは、厳しい戦いを覚悟しながらも「2枠」という世界選手権の出場権獲得を目指す。
明日24日は、オーストラリアと対戦。高さのある相手に対し、どう挑むのか。2年間課題として取り組んできた一つの「答え」を明日、出すつもりだ。
(文・斎藤寿子、写真・岡川武和)