2月6日、7日に2021ジャパンパラゴールボール競技大会が千葉ポートアリーナ(千葉)で開催された。
新型コロナウイルスの影響で海外チームの招待は無く、日本代表強化指定選手が男女それぞれ2チームに分かれて試合を行った。
今大会は無観客試合となったが全試合がオンライン中継され、選手・スタッフのPCR検査の実施やこまめな消毒など感染対策が徹底されていた。
大会初日、1試合目は女子日本代表Aと女子日本代表Bが対決。拮抗した試合となり0-0のまま延長戦、さらにはエクストラスローまでもつれた。両者譲らぬ展開の中、最後は小宮正江(女子日本代表B)がゴールを決め、1-0で女子日本代表Bが勝利した。
続いて男子日本代表Aと男子日本代表Bの対決。開始2分、辻村真貴(男子日本代表B)のゴールをきっかけに、前半から点の取り合いとなり、4-3で後半へ突入。後半開始直後の一投目、宮食行次(男子日本代表A)の力強い投球はディフェンスの間を通り抜けそのままゴールへ。このゴールで一気に流れを掴んだ日本代表Aは、宮食、佐野優人(男子日本代表A)を中心に得点を重ね、10-3で勝利。6得点の活躍を見せた佐野は「今まで練習してきた角度のついたバウンドボールで得点をしっかり取ることが出来たので、成果はすごく出たと思う」と語った。
試合後、「女子はあまりいい内容ではなかった、もう少し良いショットを打てると期待して見ていたが残念だった。男子については若手がガンガン動いていたので非常に良かったと思う」とゴールボール日本代表総監督である市川喬一は初日の2試合を振り返った。
大会2日目、女子日本代表Aと男子クラブチーム(Tsukuba tec)の対決。前半開始30秒、天摩由貴(女子日本代表A)が放ったボールがゴールネットを揺らし、女子日本代表Aが先制する展開となった。男子の強いショットも持ち味のディフェンス力を活かして防ぎつつ、欠端瑛子(女子日本代表A)の今大会初ゴールもあり3-0で折り返し。後半は途中出場の萩原紀佳(女子日本代表A)が2得点と存在感を見せるが、終了間際立て続けに失点を許し、最終的に5-3で女子日本代表Aが勝利。キャプテンの天摩は「前半から得点を少しずつではあるが重ねて勝つことができたという点では良かったかなと思う。ただペナルティースローを5本も貰っておきながら決められたのが1本だけだったというのはすごく反省点」と次回に向けての課題も挙げていた。
1日目に続き対戦となった、男子日本代表Aと男子日本代表B。前半は1-1で折り返し、後半は開始早々宮食が威力のあるショットをゴールギリギリに決める。先制こそ許したものの、同点に追いついて以降は男子日本代表Aペースで追加点を重ね、5-1で試合は終了。この試合で同じコースに度々ゴールを決めるシーンが印象的だった宮食は、「分かっていても取れないボールを僕は追求しているので、何度も戦ってきている相手から点が取れたことは良かったかなと思う」と試合を振り返った。
女子日本代表Bと男子クラブチームの試合は、終始点の取り合いとなる激しい展開に。一進一退の攻防の中、女子日本代表Bが先行する状況が続くが、後半7分初めて男子クラブチームがリード。その後再びリードした女子日本代表Bだったが、試合終了間際に同点に追いつかれ、続けてペナルティースロー与えてしまい逆転を許す。しかし、試合終了0.2秒のところで高田朋枝(女子日本代表B)のクロスが相手ゴールギリギリに決まり再び同点。試合後のインタビューで、「浦田選手の言葉で背中を押されたので投げたのは私ですけどチームで勝ち取った1点だったなと感じている」と語った。結果は延長戦の末、9-8で女子日本代表Bが勝利した。
市川総監督は2日間の試合を通じて、「男子日本代表Aは終始安定したプレーが出来ていた。1年前に決まったメンバーと今のメンバーの力の差が変わってきたと感じた。女子に関しては、もう一度メンバーの選定に入らないといけない」という言葉とともに本大会を総括した。
【試合結果一覧】
●2月6日
女子日本代表A 0―1 女子日本代表B
男子日本代表A 10―3 男子日本代表B
●2月7日
女子日本代表A 5―3 男子クラブチーム(Tsukuba tec)
男子日本代表A 5―1 男子日本代表B
女子日本代表B 9―8 男子クラブチーム(Tsukuba tec)
【ゴールボール】
視覚に障がいがある人のために考案されたスポーツの一つ。1チーム3人で構成され、バレーボールと同じ大きさのコートで、交互に敵陣のゴール(幅9m、高さ1.3m)に目がけてボールを転がし、得点を競う。守備側の選手は、ゴール前に横たわり、自らの体を盾にして守る。1試合は12分ハーフの合計24分間。
障がいの程度による競技力の差が出ないように、コート上の全選手にはアイシェード(目隠し)を付けることが義務付けられている。視覚からの情報がすべて遮断された状態で、プレーしている。コート内に貼られたラインテープの下には、糸が通してあり、その凹凸を頼りにして、選手は自分の位置を確認することができる。
また、ボールの中には鈴が入っており、その音で相手が投球したボールの方向やスピード、球種などを読み取る。ボールの大きさはバスケットボールと同じだが、重さはその約2倍の1.25kgもある。骨折や突き指の危険性もあり、守備側の選手は指に力を入れたり、鼻を両腕で覆うようにして手を伸ばす。また、ボールが後ろへ弾かれてゴールに入らないように、体を九の字に曲げたり、腕や脚はボールを挟むようにして伸ばすなど、さまざまな工夫が凝らされている。