パラリンピック新記録で日本に金メダル第一号をもたらした鈴木孝幸
8月26日、東京パラリンピック・大会3日目。
水泳の鈴木孝幸が100m自由形に出場し、1分21秒58のパラリンピック新記録で日本勢初となる金メダルを獲得。日本に2大会ぶりとなる金メダルをもたらした。前日の50m平泳ぎで獲得した銅メダルに続き、今大会・自身2個目のメダル。優勝がわかった瞬間には力強いガッツポーズで喜びをかみしめた。
メダルなしに終わった前回のリオ大会の悔しさを原動力に、2013年から拠点を置くイギリスで強化に取り組んだ。パラリンピックが1年延期となる中、「自分がコントロールできること、できないことがある中で、自分の中でできるベストを尽くそうという意識で5年間取り組んできた」とリオ大会からの道のりを振り返った。残る3種目でもメダルを目指す。
初出場となるパラリンピックで銀メダルを手にした富田宇宙
男子400m自由形ではパラリンピック初出場の富田宇宙が4分31秒69アジア新記録で銀メダルを獲得。大会の1年延期が決まりモチベーションの維持に苦しんだ。そして「パラリンピックの意義を伝えたい」と言い続けてきた。表彰式では涙も見られた富田は「メダルの重さを噛み締めています。本当にたくさんの方の努力の結晶だと思います。本当に本当に重たく感じます」と喜びをかみしめた。
自転車は男子C2 3000mパシュートに川本翔大が出場。川本を含む出場選手が予選で次々と世界記録を更新するハイレベルな戦いとなり、3位決定戦に臨むも中国の梁貴華に破れ4位の結果で試合を終えた。
車いすフェンシングは、男子エペ個人、女子エペ個人が行われ、藤田道宣、松本美恵子、櫻井杏理が出場した。日本代表では唯一、自力で東京パラリンピック出場枠を獲得した櫻井は、予選リーグを4勝2敗で突破。続いて行われた準々決勝では序盤から相手に連続ポイントを取られ、その後もなかなか波に乗れず惜しくもベスト8という結果に終わった。
卓球では前日の初戦を白星で飾りメダル獲得が期待されていた岩渕幸洋だったが、2連敗を喫して予選リーグ敗退となった。伊藤槙紀、井上全悠はともに白星をあげ予選リーグ突破へ一歩前進。パラリンピック初勝利をあげた井上は「ひとつこの舞台で勝てたことを嬉しく思う。この一勝を機に勝ちを重ねていきたい」と語った。
馬術はグレード2,4,5個人が行われ、リオ大会出場の宮路満英、吉越奏詞、高嶋活士の3選手がパートナーである愛馬と演技に臨んだ。63歳の宮路は7位に入賞し、上位8名のみが進出できるフリースタイルへの進出を決めた。
パワーリフティングは男女それぞれ2階級が行われ、男子49kg級にはパラリンピック3大会連続出場のベテラン、三浦浩が出場。122kgからスタートした三浦は2回目の試技で125kgに挑むも失敗、3回目で127kgを挙げ9位で試合を終えた。
車いすバスケットボール女子は予選リーグ2戦目に臨み、2018年の世界選手権・準優勝のイギリスを相手に54-48で勝利し初戦に続き2連勝。「一致団結」を合言葉に全員バスケで勝ち進んでいく。
男子はコロンビアとの一戦。藤本怜央の3ポイントシュートで先制すると秋田啓が確率の高いシュートで得点を重ねる。鳥海連志は15得点16リバウンド10アシストのトリプルダブルの活躍でチームを勢いづかせ、63-56で初戦を白星で飾った。
車いすラグビーは、前日に世界ランキング1位のオーストラリアを破ったデンマークとの一戦。立ち上がりからアグレッシブなディフェンスでプレッシャーを与え、ターンオーバーを重ねながら点差を広げていった。日本ペースで試合は進み、終始リードを守った日本が60-51で圧勝。開幕2連勝とし、予選ラウンド大一番のオーストラリア戦に向けて弾みをつけた。
(文・張 理恵)
■日本人結果一覧
【競泳】
女子100m自由形 S5(運動機能)
第9位(予選敗退) 成田真由美 予選:1分29秒48
第10位(予選敗退) 由井真緒里 予選:1分34秒39
男子100m自由形 S4(運動機能)
第2位 鈴木孝幸 予選:1分27秒48
男子400m自由形 S11(視覚)
第2位 富田宇宙 予選:4分35秒77
男子100m背泳ぎ S13(視覚)
第7位 齋藤元希 予選:1分3秒44
男子100m平泳ぎ SB8(運動機能)
山田拓朗 欠場
女子100m平泳ぎ SB8(運動機能)
第6位 宇津木美都 予選:1分28秒44
混合200mリレー 20ポイント(運動機能)
第9位(予選敗退) 中村智太郎、日向楓、由井真緒里、成田真由美
予選:2分44秒89
男子100m自由形 S4(運動機能)
第1位 鈴木孝幸 決勝:1分21秒58
男子400m自由形 S11(視覚)
第2位 富田宇宙 決勝:4分31秒69
男子100m背泳ぎ S13(視覚)
第8位 齋藤元希 決勝:1分4秒56
女子100m平泳ぎ SB8(運動機能)
第6位 宇津木美都 決勝:1分28秒59
【自転車(トラック)】
男子個人パシュート C2(運動機能)
第4位 川本翔太 決勝:3分38秒947 予選:3分36秒117
男子個人パシュート C3(運動機能)
第8位(予選敗戦) 藤田征樹 予選:3分38秒366
【車いすフェンシング】
男子エペ個人 カテゴリーB 予選リーグ
●藤田道宣 4 - 5 コトヤ・ディミトリ○
●藤田道宣 2 - 5 ダツコ・アントン○
●藤田道宣 1 - 5 クジュコフ・アレクサンドル○
○藤田道宣 5 - 2 メインビル・ピエール●
●藤田道宣 3 - 5 アリ・アンマール○
●藤田道宣 3 - 5 ピター・ヨアン○
女子エペ個人 カテゴリーA 予選リーグ
●松本美恵子 2 - 5 アマリラ・ベレシュ○
●松本美恵子 1 - 5 アリョーナ・エフドキモワ○
●松本美恵子 2 - 5 ジェマ・コリスマキャーン○
●松本美恵子 3 - 5 栄静○
●松本美恵子 3 - 5 キンガ・ドローシュ○
女子エペ個人 カテゴリーB予選リーグ
○櫻井杏理 5 - 3 周景景●
○櫻井杏理 5 - 3 テリー・ヘイズ●
○櫻井杏理 5 - 2 ハレンザ・パトリツィア●
●櫻井杏理 3 - 5 ビクトリヤ・ボイコワ○
○櫻井杏理 5 - 1 鐘婉萍●
●櫻井杏理 2 - 5 アレシア・マクリツカヤ○
女子エペ個人 カテゴリーB 準々決勝
●櫻井杏理 3 - 15 ビクトリヤ・ボイコワ○
【卓球】
男子シングルス クラス9(立位) 予選リーグ グループD 試合4
●岩渕幸洋 1 - 3 レブ・カツ○
女子シングルス クラス11(知的) 予選リーグ グループA 試合3
○伊藤槙紀 3 - 0 クリスティーナ・ウイシャク●
女子シングルス クラス11(知的) 予選リーグ グループB 試合3
●古川佳奈美 0 - 3 レア・フェルネ○
男子シングルス クラス11(知的) 予選リーグ グループB 試合2
●竹守彪 2 - 3 フロリアン・バンアケル○
男子シングルス クラス11(知的) 予選リーグ グループA 試合2
●加藤耕也 1 - 3 ペーテル・パーロシュ○
男子シングルス クラス2(車いす) 予選リーグ グループD 試合3
●皆見信博 0 - 3 ヤン・リアポシュ○
男子シングルス クラス7(立位) 予選リーグ グループC 試合2
●八木克勝 0 - 3 廖克力○
男子シングルス クラス7(立位) 予選リーグ グループE 試合3
○井上全悠 3 - 1 ジェイク・バレストリーノ
男子シングルス クラス9(立位) 予選リーグ グループD 試合6
●岩渕幸洋 2 - 3 ユーリー・ノズドルノフ○
【馬術】
個人 グレード2
第7位 宮路 満英 66.824点
第10位 吉越 奏詞 63.823点
個人 グレード4
第14位 高橋活士 65.951点
【パワーリフティング】
男子49キロ級
第9位 三浦浩 127kg
【女子車いすバスケットボール】
予選リーグ グループA
○日本 54 - 48 イギリス●
【男子車いすバスケットボール】
予選リーグ グループA
○日本 63 - 56 コロンビア●
【車いすラグビー】
予選リーグ グループA
○日本 60 - 51 デンマーク●