東京2020パラリンピック競技大会 8/28【大会5日目】

トライアスロン 宇田秀生が日本人勢初の銀メダル獲得！

　
　8月28日、東京パラリンピック・大会5日目はトライアスロン・宇田秀生の銀メダル獲得から始まった。団体競技では車いすバスケットボール男子がカナダに逆転勝利を収め、3連勝とした。

お台場海浜公園で二日間にわたって行われるトライアスロン。1日目は男子PTS4(運動機能)、女子PTS2(運動機能)とPTVI(視覚障害)男子・女子の4種目が実施された。男子PTS4には、パラリンピック初出場の世界ランキング2位・宇田秀生が出場。宇田はトップを走るアレクシ・アンカンカン(フランス)にくらいつき2位でゴール。ゴールした瞬間、喜びを爆発させ涙を流した。トライアスロンでは日本勢初となる銀メダルを獲得した宇田は「支えてくれた家族や友達、応援やサポートをしてくれる全ての人を思い出しながら走れました。非常に幸せな時間でした。100点です」と笑顔で語った。男子PTVIでは、米岡聡が銅メダルを獲得した。また、女子PTS2に出場した秦由加子はリオ大会に続き6位入賞。「前回の悔しさをこの5年間ずっと心の中に秘めてトレーニングを積んできて、1つでも上の順位をと思っていましたが、世界は強かったです。彼女達と一緒に私たちの可能性をどんどん広げていきたいと思います」と清々しい表情で話した。

　
　車いすテニス、世界ランキング1位の国枝慎吾は男子シングルスの2回戦に登場し、マレク・ゲルゲリー（スロバキア）にストレート勝ち。女子シングルス1回戦に臨んだ上地結衣はマリア フロレンシア・モレノ(アルゼンチン)に快勝した。また、大谷桃子が南アフリカの選手を、田中愛美はマレーシアの選手をストレートで下し、クアードシングルスに出場した菅野浩二が韓国の選手に同じくストレート勝ちを収めた。

　ゴールボールは、予選リーグ2連勝の男子がリオ大会金メダルのリトアニアと対戦し、10-2で快勝。開幕から3連勝と快進撃を続ける。女子はアメリカと対戦し3-2で勝ち、今大会初めての勝利を手にした。

　水泳は男子100m自由形で金メダル、男子50m平泳ぎで銅メダルを獲得した鈴木孝幸が、3種目目の男子150m個人メドレーでも銅メダルを獲得。「この種目も表彰台に戻りたかったのでメダルが獲れてよかったです」と喜びを口にした。

　車いすバスケットボールでは、男子日本代表が予選ラウンド3戦目となるカナダとの一戦に臨み、前半を19-30で折り返し追いかける展開となったが、第4クォーターで同点に追いつくと香西宏昭の3ポイントシュートで逆転。62-56で勝利を収め、決勝トーナメント進出を決めた。香西は3ポイントシュート4本を含む両チーム最多の24得点を挙げ、勝利に貢献した。

　パワーリフティングには、男子72kg級に宇城元が登場。ロンドン大会以来のパラリンピック出場となったが、「今まで参加してきた大会の中で一番緊張していなかった」と宇城。試技の前には大きく声をあげ自身を鼓舞する場面も見られ、162kgを挙げて6位で競技を終えた。

　馬術は前日までの個人戦に続き団体戦が行われた。宮路満英、稲葉将が演技を行い、135.603の11位で1日目を終えた。自身初の70%という記録を出した稲葉は「ずっと目標としていた70というスコアを最後の最後に取ることができて本当に良かった」と語り、翌日に演技を控える高嶋活士にいい流れを引き込む、見事な演技を見せてくれた。

　アーチェリーは男子個人コンパウンドオープン2回戦に宮本リオンが出場し、イタリアのマテオ・ボナチナと対戦し勝利。岡崎愛子・大山晃司のペアは、混合(ミックス)チームW1準々決勝に臨み、RPC(ロシアパラリンピック委員会)のチームに敗れた。

　陸上は、走り幅跳びには夏季パラリンピック4大会連続出場の山本篤が出場し、6m75cmの跳躍でアジア新記録を更新し4位。山本は「1本目から自己ベストに近いジャンプができて今出せる力は出したと思います。メダルがなくて悔しい部分もありますけど、最高のジャンプをするという目標は達成できたと思います」と自身の跳躍を振り返った。女子・走り幅跳びには2019年の世界選手権で金メダルを獲得した中西麻耶が出場し5m27cmで6位、髙桑早生は4m88cmの記録で8位入賞を果たした。女子400mにはリオ大会で銅メダルを獲得した辻沙絵が出場し、予選から順位をあげ5位。「一生に一度あるかないかのこの試合で自分の力を出し切りたいと思っていたので、タイムだったり、メダル獲得には及びませんでしたが、今自分のもてる力は120％出せたと思います」と納得の表情で語った。

　柔道は、女子57kg級の廣瀬順子が、前回のリオ大会に続く銅メダルをかけた3位決定戦に臨んだが、世界ランキング1位のライバル、トルコのジェイネプ・ジェリクに敗れ、メダル獲得とはならなかった。
女子63kg級の工藤博子と男子73kg級の永井崇匡は敗者復活戦で敗れた。

　ボッチャは28日から競技がスタート。各クラス個人戦の予選が行われ、BC2(運動機能)クラスでは杉本英孝と廣瀬隆喜が１勝を挙げ好スタート、BC1(運動機能)の中村拓海、BC3(運動機能)の河本圭亮も初戦を勝利で飾った。


　車いすラグビーは準決勝と順位決定戦が行われ、日本は決勝進出をかけてイギリスとの準決勝に臨んだ。イギリスのプレッシャーによりリズムを作ることができず、苦しい展開が続いた。選手交替を繰り返しながら打開を図るもその差はじわじわと広がり、49-55で敗れ目標とする金メダル獲得への道が絶たれた。試合後には涙が見られ、会場からは大きな拍手が送られた。キャプテンの池透暢は翌日の3位決定戦に向けて、「最後まで日本の最高のプレーをやり切って、出し切って、胸を張れるプレー試合をしたいと思います」と語った。


■日本人結果一覧

【トライアスロン】
男子　PTS4(運動機能)
第2位　宇田秀生　1時間3分45秒

女子　PTS2(運動機能)
第6位　秦由加子　1時間28分04秒

男子　PTVI(視覚)　
第3位　米岡聡(ガイド：椿浩平)　1時間2分20秒

女子　PTVI(視覚)
第11位　円尾敦子(ガイド：菊池日出子)　1時間20分59秒


【陸上】
女子100m T38(脳性まひなど)　
予選敗退　第12位　高松佑圭　予選：14秒00

女子走り幅跳び T64(運動機能・義足)
第6位　中西麻耶　決勝：5m27cm
第8位　髙桑早生　決勝：4m88cm

男子走り幅跳び T63(運動機能・義足)
第4位　山本篤　決勝　6m75cm
第7位　小須田潤太　決勝　5m95cm

男子5000m T54(車いす)
第８位　樋口政幸　決勝　10分31秒28

女子400m T47(切断・運動機能)
第5位　辻沙絵　決勝59秒98


【競泳】
男子100m自由形 S10(運動機能)　
予選敗退　南井瑛翔　予選：58秒44

女子100m背泳ぎ S11(視覚)
予選敗退　小野智華子　予選：1分24秒54

男子200m個人メドレー SM8(運動機能)　
予選敗退　荻原虎太郎　予選：2分31秒72

女子100m平泳ぎ SB5(運動機能)　
予選敗退　由井真緒里　予選：2分2秒31秒

男子100m平泳ぎ SB6(運動機能)
第8位　中村智太郎　予選：1分25秒16　決勝：1分25秒00

男子150m個人メドレー SM4(運動機能)
第3位　鈴木孝幸　予選：2分45秒77　決勝：2分40秒53

混合400mリレー S14(知的)
第4位　東海林大・山口 尚秀・福井香澄・井上舞美　決勝：3分57秒18


【車いすテニス】
女子シングルス　1回戦
○上地結衣 2 – 0　マリア フロレンシア・モレノ●

クアードシングルス 1回戦
●諸石光照　0 – 2　ディラン・アルコット○

クアードシングルス 1回戦
○菅野浩二　2 – 0　キム・ミョン ジェ●

男子シングルス　2回戦
○国枝慎吾　2 – 0　マレク・ゲルゲリ●

女子シングルス　1回戦
○大谷桃子　2 – 0　マリスカ・ベンター●

女子シングルス 1回戦
○田中愛美　2 – 0　ナジワ・アウワン●

女子シングルス 1回戦
●高室冴綺　0 – 2　ホターチョ・ムンジャーネ○

男子ダブルス　1回戦
○荒井大輔/三木拓也 2 - 0　スティ・クロンルア/バンジョップ・スワン●


【車いすバスケットボール】
男子 予選リーグ グループA
○日本　62 – 56　カナダ●


【車いすラグビー】
●日本　49 – 55　イギリス○


【柔道】
男子81キロ級 1回戦
●北薗新光　0 – 10　ドミトロ・ソロベイ○ (一本)

男子73キロ級 1回戦
○永井崇匡　10 – 0　ロドルフォ・ラミレス●(一本)

女子57キロ級　1回戦
○廣瀬順子　10 – 0　エレナ・ボグダノワ● (一本)

女子63キロ級　1回戦
○工藤博子　10 – 0　リアナ・ムティア● (一本)

男子73キロ級　準々決勝
●永井崇匡　0 – 10　ワシリー・クトゥエフ○ (一本)

女子57キロ級　準々決勝
●廣瀬順子　0 – 11　パルビナ・サマンダロワ○ (一本)

女子63キロ級 準々決勝
●工藤博子　0S1 – 10S1　ハニム・フセイノワ○ (一本)

男子73キロ級　敗者復活戦
●永井崇匡　1 – 11　バレイキス・オスバルダス○ (一本)

女子57キロ級 敗者復活戦
○廣瀬順子　10 – 0　ラウラ・ゴンサレス● (一本)

女子63キロ級 敗者復活戦
●工藤博子　0 – 10　マルタ・アルセ パイノ○ (一本)

女子57キロ級 3位決定戦
●廣瀬順子　1 – 10　ゼイネプ・チェリック○ 延長勝ち (一本)


【アーチェリー】
男子個人コンパウンド　オープン
○宮本リオン　141 – 136　マッテオ・ボナチーナ●

混合団体 W1(四肢) 準々決勝
●日本　119 – 132　RPC○


【ゴールボール】
女子 予選リーグ - グループD
○日本　3 – 2　アメリカ●

男子 予選リーグ - グループA
○日本　10 – 2　リトアニア●


【パワーリフティング】
男子72kg級
第6位　宇城元　162kg


【ボート】
女子シングルスカル　敗者復活戦
第9位　市川友美　12分41秒10

混合舵手つきフォア　敗者復活戦
第10位　八尾 陽夏・木村由・西岡利拡・有安諒平・立田寛之　7分52秒35


【ボッチャ】
個人BC4(運動機能)　予選　グループC
●江崎 駿　2 - 4　エウクリデス・グリサレス〇

個人BC1(運動機能) 予選 グループA
〇中村 拓海　8 – 5　マウリシオ・イバルブレ●

個人 BC3(運動機能) 予選 グループA
●高橋和樹　2 - 7　グリゴリオス・ポリクロニディス〇

個人 BC3(運動機能) 予選 グループC
〇河本圭亮　4 – 2　マテウス・カルバーリョ●

個人 BC2(運動機能) 予選 グループB
〇杉本英孝　12 – 0　ディアナ・ツィプリナ●

個人 BC1(運動機能) 予選 グループD
●藤井友里子　2 - 5　トマシュ・クラール〇

個人 BC2(運動機能) 予選 グループF
〇廣瀬隆喜　7 – 2　アビリオ・バレンテ●


【車いすフェンシング】
男子フルーレ個人　カテゴリーAグループA　
●加納慎太郎　1 - 5　ミハル・ナレバイェク○
○加納慎太郎　5 - 3　マテュー・エーベル●
●加納慎太郎　3 - 5　アンドリー・デムチュク○
●加納慎太郎　4 - 5　孫 剛○

男子フルーレ個人　カテゴリーBグループA
●恩田竜二　1 - 5　アレクサンドル・クジュコフ○
●恩田竜二　3 - 5　バンデルソンルイス・シャベス○
●恩田竜二　1 - 5　ディミトル・コトヤ○
●恩田竜二　1 - 5　マキシム・バレ○
●恩田竜二　2 - 5　オレフ・ナウメンコ○
●恩田竜二　1 - 5　馮 彦可○

男子フルーレ個人　カテゴリーBグループB
●藤田道宣　2 - 5　アルベルト・カマロフ○
●藤田道宣　3 - 5　胡 道亮○
●藤田道宣　1 - 5　アドリアン・カストロ○
○藤田道宣　5 - 3　ジョバネ・ギソネ●
●藤田道宣　2 - 5　アントン・ダツコ○
●藤田道宣　2 - 5　マルコ・チーマ○

女子フルーレ個人　カテゴリーB グループA
●阿部知里　0 – 5　ビオベアトリーチェ・マリア○
●阿部知里　0 – 5　肖蓉○
●阿部知里　2 – 5　ワシレア・リュドミラ○
○阿部知里　5 - 2　鐘　婉萍●
●阿部知里　0 – 5　イルマ・ヘツリアニ○


【馬術】
団体
暫定第11位　135.603点