東京2020パラリンピック競技大会 8/31【大会8日目】

自転車・杉浦佳子が笑顔の金メダル「最年長記録はまた作れる」

　
　8月31日、東京パラリンピック・大会8日目。
　自転車競技では、1周８kmのコースを2周してタイムを競う女子個人ロードタイムトライアルで杉浦佳子が25分55秒76のタイムで金メダルを獲得。パラリンピックの日本人選手最年長、50歳のメダリストが誕生した。トラック競技ではメダルを逃し悔しい思いをしていただけに、その雪辱を果たすかのような力強い走りで意地を見せつけた。杉浦は「最年少記録は2度と作れないが、最年長記録はまた作れる」と持ち前の明るさで語り、さらなる記録更新に意欲を燃やした。

　
　陸上では男子1500mの視覚障がいクラスで、和田伸也が4分5秒27の記録で銀メダルを獲得。5000mの銅メダルに続き2個目のメダル獲得となった。和田は「パラリンピックで複数のメダルを獲るのは初めてなので、良い流れで最終日のマラソンに繋げていける」と好調ぶりをアピールした。また、和田と同じレースに出場した唐澤剣也は４位入賞を果たした。

　5人制サッカーは予選グループ最終戦、準決勝進出をかけ中国と対戦した。序盤から積極的に攻める中国は前半で2点を先取、日本は追い上げを図り果敢に反撃を仕掛けるも得点を奪えず0-2で試合終了。日本にとって初めてのパラリンピックは予選敗退という結果に終わったが、3年後のパリに向けて弾みをつける貴重な経験となった。日本は9月2日に5位決定戦を戦う。

　車いすテニスは、女子シングルス準々決勝に日本のエース・上地結衣が登場。第1セットは中国選手の粘り強いプレーとリターンの強打に苦しめられ追う展開となったが見事に勝ち取り、続く第2セットも上地。セットカウント0-2でベスト4進出を決めた。女子シングルスではこのほか大谷桃子が準々決勝に臨み、オランダのディーデ・デフロートにストレート負けを喫した、クアードシングルスでは、準決勝で菅野浩二がオランダのサム・スローダーに敗れ、3位決定戦に臨む。また、男子ダブルス準決勝では、国枝慎吾・眞田卓ペアが優勝候補のイギリス組に挑み、0–2で敗れた。3位決勝戦で銅メダル獲得を狙う。

　ゴールボールは、男子が準々決勝で中国と対戦。前半はうまく噛み合わず0-4で折り返したが、後半に入り途中出場の宮食行次が4得点を奪う活躍を見せる。しかし中国も攻撃の手を緩めず4-7で日本が敗れ、準々決勝敗退となった。試合終了直後、コートに倒れしばらく天を仰いだ宮食は「こんな楽しい時間が今日で終わってしまうのが辛い。こんなに幸せな経験はない」と涙を流して語った。

　シッティングバレーボール男子は予選リーグ最終となるボスニア・ヘルツェゴヴィナとの一戦に臨み、高さと速さで上回る相手に主導権を握られ、セットカウント0-3で敗戦。予選敗退が決まり、7位-8位決定戦で中国と対戦する。

　ボッチャは、リオ大会・銀メダリストの杉村英孝が、個人戦・BC2(運動機能)準々決勝に臨み、スロベキアのロベルト・メジークに8-1で圧勝。準決勝ではブラジルのマシエル・サントスに3-2で勝ち、日本勢では初となる個人戦でのメダルが確定した。

　車いすバスケットボール女子は、準々決勝でオランダとの一戦に臨んだ。オランダは前回のリオ大会で銅メダルを獲得、2018年の世界選手権ではチャンピオンに輝いた強豪。立ち上がりから相手のスピードと高さに押され、日本は流れを引き寄せることができず苦しい展開が続く。オランダのリードは広がっていくが、日本はメンバー全員をコートに送り込み、柳本あまねの3ポイントシュートや小田島理恵の高確率なショットで最後まで諦めない姿勢を見せる。試合は24-82で敗れ、9月3日の5-6位決定戦に臨む。

　水泳は、女子200m個人メドレーSM14(知的障がい)で井上舞美が2分37秒86の日本新記録で予選を突破、決勝でも2分37秒86をマークし8位となった。男子200m個人メドレーSM14(知的障がい)では、東海林大が決勝に進出。結果は2分11秒29で4位と、メダルまであと一歩及ばなかった。それでも東海林は「自分の中で悔いなく泳げたことが一番」だと胸を張った。混合400mリレー49ポイントには、視覚障がいの富田宇宙・齋藤元希・石浦智美・辻内彩野が出場。4分8秒66の日本新記録をマークし5位でレースを終えた。


■日本人結果一覧

【競泳】
男子200m個人メドレー SM14(知的)
第4位　東海林大　予選：2分15秒54　決勝：2分11秒29
予選敗退　山口尚秀　予選：2分17秒43
予選敗退　中島啓智　予選：2分23秒57

女子200m個人メドレー SM14(知的)
第7位　井上舞美　予選：2分36秒60　決勝：2分37秒86

男子100mバタフライ S10(運動機能)
予選敗退　南井瑛翔　予選：1分0秒97

混合　400mリレー 49ポイント88(視覚)
第5位　富田宇宙/齋藤元希/石浦智美/辻内彩野　決勝：4分8秒66


【陸上】
男子1500m T11(視覚)
第2位　和田伸也　決勝：4分5秒27
第4位　唐澤剣也　決勝：4分8秒84

女子100m T13(視覚)
予選敗退　佐々木真菜　予選：12秒96

男子400m T36(脳性まひなど)
第7位　松本武尊　決勝：59秒15

男子1500m T54(車いす)
第9位　鈴木朋樹　決勝：2分53秒60

女子400m T20(知的)
第7位　外山愛美　決勝：59秒99


【アーチェリー】
男子個人コンパウンド オープン3回戦
●宮本リオン　139 – 146　何梓豪○


【ブラインドサッカー】
男子 予選リーグ グループA
●日本　0 – 2　中国○


【シッティングバレーボール】
予選リーグ グループ A
●日本　0 – 3　ボスニア・ヘルツェゴヴィナ○


【ゴールボール】
男子準々決勝 試合1
●日本　4 – 7　中国○


【ボッチャ】
個人 BC2(運動機能)
準々決勝　○杉村英孝　8 – 1　ロベルト・メジーク●
準決勝　○杉村英孝　3 – 2　マシエル・サントス●


【自転車】
男子個人ロードタイムトライアル C2(運動機能)
第9位　川本翔大　決勝：39分8秒26

女子個人ロードタイムトライアル C1-3(運動機能)
第1位　杉浦佳子　決勝：25分55秒76
第15位　藤井美穂　決勝：33分9秒2

男子個人ロードタイムトライアル C3(運動機能)
第7位　藤田征樹　決勝：36分47秒63


【卓球】
男子団体 クラス6-7(立位) 1回戦
●日本　0 – 2　ブラジル○


【車いすテニス】
女子シングルス 準々決勝
○上地結衣　2 – 0　朱珍珍●

女子シングルス 準々決勝
●大谷桃子　0 – 2　ディーデ・デフロート○

男子ダブルス 準決勝
●国枝慎吾/眞田卓　0 – 2　アルフィー・ヒューウェット/ゴードン・リード○

クアードシングルス 準決勝
●菅野浩二　0 – 2　サム・シュローダー○


【車いすバスケ】
女子 準々決勝
●日本　24 - 82　オランダ○