ボッチャでは、日本のエース・杉村英孝が金メダルを獲得。個人種目では初となるメダルを日本にもたらした。ここまで「目の前の試合を一試合一試合戦うことを心がけてきた」という杉村は、決勝でリオ大会・金メダルのタイの選手を相手に1エンドも譲ることなく5-0で圧勝した。前回のリオ大会で団体・銀メダルを獲得し日本で一気にボッチャが注目を浴びた。「そこで終わりにさせてはいけないと思ったし、東京大会でしっかり結果を残してさらにボッチャの知名度を上げたいと言う気持ちでやってきた。個人としてもこのような結果を獲ることができてうれしい」と、リオからの5年間の思いを語った。
水泳では、視覚障がいクラスの木村敬一が男子100m平泳ぎで銀メダルを獲得。個人メドレーでメダルを逃した悔しさを晴らす力強い泳ぎで日本のエースとしての意地を見せつけた。コロナ禍を乗り越えたどりついた表彰台。「改めてこの舞台に立ちメダルを獲れた幸せを噛み締める時間になった」と語った木村。本命のバタフライでは「世界中の誰にも負けないようなレースをしたい」とさらなる活躍を宣言した。
車いすテニスでは、諸石光照・菅野浩二ペアがクアードダブルスの3位決定戦に臨み、途中、雨により試合が中断する中、イギリスペアとのフルセット3時間に及ぶ死闘を制し、同種目・日本勢初となる銅メダルを獲得した。女子ダブルスでは上地結衣・大谷桃子ペアがオランダペアを相手に準決勝を戦い、粘りのプレーを見せるもストレート負けを喫し3位決定戦でメダル獲得を目指す。男子シングルスでは、日本選手団主将の国枝慎吾が、因縁のライバル・フランスのウデとの準々決勝に臨んだ。第1セット、ゲームカウント2-5の苦しい状況から気持ちを切り替え、4ゲームを連取し6-5と逆転。第2セットも国枝が制し準決勝へと駒を進めた。
東京大会で初めてパラリンピック正式競技として行われるバドミントンは、各種目の予選がスタート。女子シングルスでは、車いすクラスで2019年の世界選手権チャンピオンに輝き、世界ランキング1位の里見紗李奈が白星発進。立位クラス(SU5)の世界ランキング1位・鈴木亜弥子もインドの選手にストレート勝ちし、初戦を白星で飾った。
ゴールボール女子は準々決勝に臨み、4-1でイスラエルを下し準決勝進出を決めた。4ゴールを奪う活躍で勝利に大きく貢献した萩原紀佳。昨年の代表選考で一度は落選したが、コロナ禍の中でもあきらめることなく努力を続け代表の座を掴み取った。萩原は「オフェンスを期待されて選出してもらった。そこでチームに貢献できたことは今後の人生においても自信になる」と自身のプレーを振り返り、続く準決勝での勝利を誓った。
陸上では、夏冬パラリンピック二刀流として注目を集める村岡桃佳が、車いす100mに出場。予選8位のタイムで決勝進出を決めると、決勝ではスタートから果敢に攻め16秒71で堂々の6位。北京冬季パラリンピックが来年に迫るなか、東京パラリンピックの1年延期でスキーと陸上を行き来しながら気持ちの切り替えがうまくできず苦しむこともあった。それでも「あきらめることはできなかった」と走り続けた村岡。レース後には、「自分の中ではまた一つ大きな経験になった。コーチとしてだけではなくプライベートでもサポートしてくれた松永仁志さんとの出会いはすごく大きかった」と感謝の気持ちを述べた。
アーチェリーは、パラリンピック初出場の岡崎愛子が女子個人W1に臨み、1回戦でチェコの選手を破り準々決勝へと駒を進めた。続く中国の陳敏儀選手との対戦では129–132で惜しくも敗れベスト4進出とはならなかった。
車いすバスケットボール男子は、オーストラリアとの準々決勝に臨んだ。「ディフェンスで世界に勝つ」という目標を体現する日本は、立ち上がりから相手をペイントエリアに寄せ付けない硬い守りでオフェンスへのチャンスを作り、攻守の切り替えの速いトランジションバスケで2018年世界選手権・銅メダルのオーストラリアを圧倒した。オフェンスでも、日本の強いプレッシャーでオーストラリアがフィールドゴール成功率36%にとどまる中、日本は52%と大きく上回り61-55で勝利。パラリンピックで初めて準決勝進出を決める歴史的勝利を収めた。勢いに乗る日本は「一心」を合言葉に、3日、メダル獲得をかけた大一番・イギリスとの準決勝に挑む。
(文・張 理恵)
■日本人結果一覧
【アーチェリー】
女子個人 W1(四肢) 1回戦
○岡崎愛子 128 – 115 テレザ・ブラントロバー●
女子個人 W1(四肢) 準々決勝
●岡崎愛子 129 – 132 陳敏儀○
【ゴールボール】
女子 準々決勝
○日本 4 – 1 イスラエル●
【競泳】
男子100m平泳ぎ SB11(視覚)
第2位 木村敬一 予選:1分14秒05 決勝:1分11秒78
男子200m個人メドレー SM9(運動機能)
第8位 山田拓朗 予選:2分26秒65 決勝:2分27秒18
女子200m個人メドレー SM9(運動機能)
予選敗退 宇津木美都 予選:2分53秒28
女子100m平泳ぎ SB13(視覚)
予選敗退 辻内彩野 予選:1分23秒49
女子50m自由形 S5(運動機能)
予選敗退 日向楓 予選:37秒45
【ボッチャ】
個人BC 2(運動機能) 決勝
○杉村英孝 5 - 0 ワッチャラポン・ボンサー●
【シッティングバレー】
女子 予選リーグ グループA
●日本 0―3 カナダ○
【車いすテニス】
男子シングルス 準々決勝
○国枝慎吾 2 - 0 ステファン・ウーデ●
女子ダブルス 準決勝
●上地結衣/大谷桃子 0 - 2 デ フロート ディーデ/ファン コート アニーク○
男子 クアードダブルス 3位決定戦
○諸石光照/菅野浩二 2 - 1 アントニー・コッテリル/アンディ・ラプソーン●
【車いすバスケ】
男子 準々決勝
○日本 61−55 オーストラリア●
【陸上】
男子100m T54(車いす)
予選敗退 (予選第12位) 生馬知季 予選:14秒50
女子100m T54(車いす)
第6位 村岡桃佳 予選:17秒10 決勝:16秒71
女子100m T12(視覚)
第7位 澤田優蘭 予選:12秒71 準決勝進出
【射撃】
混合エアライフル伏射 SH1(運動機能)
予選敗退 第28位 佐々木大輔 629.4点
予選敗退 第45位 渡邊裕介 623.0点
混合エアライフル伏射 SH2(運動機能)
予選敗退 第32位 水田光夏 628.6 点
【卓球】
女子団体 クラス9-10(立位) 1回戦
●日本 0-2 ポーランド○
【バドミントン】
混合ダブルス SL3-SU5(立位) 予選リーグ グループA
●杉野明子/藤原大輔 0 – 2 ハリィ・スサント/レアニ ラトゥリ・オクティラ○
女子シングルス WH1(車いす) 予選リーグ グループA
○里見紗季奈 2 – 0 カン・ジョングム●
女子シングルス WH2(車いす) 予選リーグ グループB
○山崎悠麻 2 – 0 イ・ソネ●
男子シングルス SU5(立位・腕) 予選リーグ グループB
●今井大湧 1 - 2 方振宇○
女子シングルス WH2(車いす) 予選リーグ グループC
●小倉理恵 0 - 2 徐婷婷○
女子シングルス SU5(立位・足) 予選リーグ グループA
○鈴木亜弥子 2 - 0 パラク・コーリ●
女子シングルス SU5(立位・足) 予選リーグ グループB
●亀山楓 1 - 2 杉野明子○
男子シングルス WH1(車いす) 予選リーグ グループB
○村山浩 2 - 1 イ・サムソプ●
男子シングルス WH1(車いす) 予選リーグ グループC
●長島理 0 - 2 屈子墨○
男子シングルス SL3(立位・足) 予選リーグ グループB
●藤原大輔 0 - 2 ダニエル・べセル○