Glitters 障害者スポーツ専門ニュースメディア
2022年8月24日

東京2020パラリンピック1周年記念イベント車いすバスケットボール日本代表ドリームマッチ

銀メダル獲得から1年 男子日本代表 ドリームマッチで競演

アグレッシブなプレーで会場を沸かせた鳥海連志 | 銀メダル獲得から1年 男子日本代表 ドリームマッチで競演|東京2020パラリンピック1周年記念イベント車いすバスケットボール日本代表ドリームマッチ | Glitters 障害者スポーツ専門ニュースメディア

アグレッシブなプレーで会場を沸かせた鳥海連志

8月24日、有明アリーナ(東京・江東区)で「東京2020パラリンピック1周年記念イベント」が開催され、第二部では車いすバスケットボール男子日本代表候補同士によるドリームマッチが行われた。

今年から日本代表キャプテンを務める川原凜が率いる「チーム ホワイト」。対するは、東京2020大会で高い存在感を見せた鳥海連志が率いる「チーム ブラック」。両チーム10名のうち9名が銀メダルメンバーというラインナップでスタートした試合は、立ち上がりから東京パラリンピックの決勝戦を彷彿とさせる、エキサイティングなバスケが展開された。

これが世界だ!と言わんばかりに藤本怜央(ブラック)の豪快なシュートがネットを揺らすと、日本が誇るトランジションから持ち前のスピードを活かし独走状態となった古澤拓也(ホワイト)が鮮やかにレイアップを決める。派手な得点シーンの一方では、司令塔としてゲームメイクする川原のキャプテンシーが光る。

鳥海がミスマッチからのショットで魅せれば、秋田啓(ホワイト)はゴール下でタフショットを冷静に沈める。フィニッシュまで24秒かけないテンポの速いバスケに、会場からは歓声とため息。あっという間に試合は進み、33-28とホワイトが5点をリードして前半を終えた。

ベテランとしてチームホワイトを牽引した香西宏昭 | 銀メダル獲得から1年 男子日本代表 ドリームマッチで競演|東京2020パラリンピック1周年記念イベント車いすバスケットボール日本代表ドリームマッチ | Glitters 障害者スポーツ専門ニュースメディア

ベテランとしてチームホワイトを牽引した香西宏昭

後半、次々とコートに送り出された若手メンバーは、強いディフェンスとトランジションに象徴されるJAPANのスタイルと、東京を経験したメンバーの思いを受け継ぐかのように躍動する。U23世代からフル代表へとステージを変え今後が期待される宮本涼平(ホワイト)、日本バスケを支え続けてきた朏秀雄(ブラック)、そして村上直広(ブラック)は3ポイントシュートで会場を沸かす。

「個性のあるメンバーがそろっている」とキャプテンの川原は語り、「この個性をあと2年間でまとめれば、東京よりも確実に強いチームになる」と胸を張る。仲間でありライバルであるからこそ妥協しない激しいディフェンス、それとは逆に、ニヤリと競り合う場面、そこに会場DJの派手な演出も加わり、エンターテインメントな空間が繰り広げられる。

この人なしで日本バスケは語れない、ベテランの風格漂う香西宏昭は、最終盤で3本のフリースローをリングに触れることなくストンと決めてみせ、最後の最後までゲームをアツく盛り上げる。そうして、20名の日本代表候補による40分間の夢の競演は、62-56と「チーム ブラック」の勝利で幕を下ろした。

試合後、鳥海は「リオから5年間、東京パラリンピックだけを見続けやってきて、とても苦しい5年間だった。その舞台でメダルを獲ることができたのは何よりもうれしかった。1年前のあの舞台があったからこそ今日こうやって会場でみなさんと会うことができた」と喜びと感謝の気持ちを伝え、その思いを受け取った5000名の観衆からは温かい拍手が送られた。

内容を振り返り、京谷和幸ヘッドコーチは「非常に質の高いゲームができた」と納得の表情。その一方で、東京パラリンピックを経験した選手と若手選手とでは「戦略・戦術の理解度や遂行力で差がある」と課題を挙げ、チーム全体の“質"にもこだわっていく姿勢を示した。

そして、銀メダル獲得の立役者のひとりでもある川原は、「東京パラリンピックの決勝、アメリカ戦で味わったのは“個の打開力"。パリに向けて、これまでのトランジションと強いディフェンスに加えて“個の打開力"を強化するため、個人個人が考え取り組んでいる」と、表情を引き締めて語った。

来月には、日本を含む12か国が出場する「IWBF 男子U23車いすバスケットボール世界選手権大会」がタイで開催される。今回のドリームマッチ出場メンバーからは、赤石竜我、高松義伸、宮本涼平、鳥海連志の4名がU23日本代表として出場する。前回大会でベスト4の成績を収めたU23世代が日本のバスケを押し上げ、パラリンピック銀メダルへとつながるバスケスタイルの礎を築いたように、今大会でのジュニア選手たちの戦いぶりにも注目だ。

東京パラリンピック開幕から1年のこの日、あの興奮と熱狂がTOKYOに帰ってきた。
自覚と責任を持ちパラリンピックムーブメントを継承する、その決意の表れとなったドリームマッチだった。

【試合結果】
チームブラック 62-56 チームホワイト

(文・張理恵)

【車いすバスケットボール】
 一般のバスケットボールとほぼ同じルールで行われる。ただし「ダブルドリブル」はなく、2プッシュ(車いすを漕ぐこと)につき1回ドリブルをすればOK。
選手には障がいの程度に応じて持ち点があり、障がいが重い方から1.0~4.5までの8クラスに分けられている。コート上の5人の持ち点の合計は14点以内に編成しなければならない。主に1.0、1.5、2.0の選手を「ローポインター」、2.5、3.0、3.5を「ミドルポインター」、4.0、4.5を「ハイポインター」と呼ぶ。
コートの広さやゴールの高さ、3Pやフリースローの距離は一般のバスケと同じ。障がいが軽いハイポインターでも車いすのシートから臀部を離すことは許されず、座ったままの状態で一般のバスケと同じ高さ・距離でシュートを決めるのは至難の業だ。また、車いすを漕ぎながら、ドリブルをすることも容易ではなく、選手たちは日々のトレーニングによって高度な技術を習得している。
ジャンプはないが、ハイポインターが車いすの片輪を上げて高さを出す「ティルティング」という技がある。ゴール下の激しい攻防戦の中、ティルティングでシュートをねじ込むシーンは車いすバスケならではの見どころの一つだ。
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