2022年9月9日

2022日本パラカヌー選手権
宮嶋志帆が女子KL2で優勝！

女子KL2で優勝した宮嶋志帆

9月9日、日本パラカヌー選手権が木場潟カヌー競技場(石川県小松市)で行われた。男女障害クラス別にカヤック(KL)ヴァー(VL)の２種目が実施された。女子KL2は今年行われた世界選手権9位の宮嶋志帆(埼玉県カヌー協会)が1分8秒852で優勝した。世界選手権前の7月から新しく右足を蹴ってスタートすることを意識している宮嶋は、好調にレースをスタートした。「8月に行われた世界選手権は自信に繋がった」と語る宮嶋は、今までとは違うパドルの漕ぎ方を変え、来年の世界選手権に向けてさらにタイムを縮めていくつもりだ。

女子KL3は加治良美(NTP名古屋トヨペット株式会社)が55秒047で優勝した。加治はレースを振り返り「世界選手権の移動の疲労が抜けきれず調整不足だった」と悔しい表情を浮かべた。しかしながら2年後のパリパラリンピックに向けて、「8月の世界選手権では万全な状態で50秒フラットを目指して頑張っていきたい」と意気込みを語った。

男子VL2で優勝した加藤隆典

男子VL2を1分5秒898で制した加藤隆典(岐阜県カヌー協会パラカヌー部)は、レースを振り返り、「良くも悪くもいつも通り、タイム的には世界と戦えない」と優勝には満足せず厳しい表情を見せた。今年の4月からナショナルヘッドコーチ（監督）に就任した枦木駿監督の指導のもと、加藤は筋力強化よりも、力の伝導性を重視したトレーニングに取り組んでおり、「感触はいいが、まだタイムには繋がらないので、来年に向けて漕ぎの概念を変えていく。来年3月の代表選考会での1分切りを狙う」と意気込みを語った。

男子VL1は高木裕太(インフィニオンテクノロジーズジャパン)が1分9秒386で初優勝した。髙木は東京パラリンピック後からメイン種目をKL1からVL1に変更した。今年の8月の世界選手権は不出場であったが、世界選手権の優勝タイム(1分10秒25)を超える好タイムをマークし、「風の条件が違うので、単純比較はできないが、十分に世界で戦える」と手応えを語った。

【優勝者一覧】
KL1男子
岩崎大輔(石川県カヌー協会)2分1秒330
KL2男子
冨岡忠幸(岐阜県カヌー協会パラカヌー部)53秒293
KL3男子
小山真(埼玉県カヌー協会)51秒467
KL2女子
宮嶋志帆(埼玉県カヌー協会)1分8秒852
KL3女子
加治良美(NTP名古屋トヨペット株式会社)55秒047
VL1男子
高木裕太(インフィニオンテクノロジーズジャパン)1分9秒386
VL2
加藤隆典(岐阜県カヌー協会パラカヌー部)1分5秒898

【パラカヌー】
下肢に障がいのある選手たちが行うカヌーは、200ｍのタイムを競う「スプリント」。男女別に、障がいの程度に応じてクラスが分かれてレースが行われる。
使用する艇が異なり「カヤック」と「ヴァー」の2種目がある。「カヤック」はパドルの両端に「ブレード」と呼ばれる水かきが付いた「ダブルブレードパドル」を使用。一方、「ヴァー」には片側に「アウトリガー」と呼ばれる浮力体が付いており、パドルもブレードが片側のみの「シングルブレードパドル」を使用する。
　レースは、流れのない静水の水上に設定された直線コースで行われ、ひとつのコースの幅は9ｍ。そのうち中央の4ｍ幅が漕行エリアとなっている。漕行エリアから左右どちらかにはみ出した場合は、コースアウトで失格となる。
　障がいの軽いクラスでは、クロスバイクと変わらない時速で200ｍをわずか40秒でゴールする選手もおり、「水上のF1」と言われている。一方、障がいの重いクラスでは体幹を使えない選手もいる。足の踏ん張りも、体幹の力も使わずに、主に両腕の力だけで漕ぐのは至難の業。さらに自然の中で行われるため、天候や場所によって条件はさまざま。わずかな風や波でも、両腕だけでバランスを保ちながら、真っすぐに漕ぐことは見た目以上に難しい。