日本代表選手団の旗手をつとめた石山大輝(左)と西田杏(右)
8月28日、パリ2024パラリンピックが華々しく開幕した。パリ中心部、エッフェル塔を望むコンコルド広場で行われた開会式には、過去最多となる168の国と地域のアスリートが集結した。
穏やかに始まったプロローグ。晴れ渡った空にアクロバット飛行チームがトリコロールカラーの線を描き、一気に高揚感をあおった。続いて、会場にはシャンゼリゼ通りを行進してきた各国の選手団が次々と姿を現した。
夜のとばりが下り始めた頃、日本選手団が76番目に入場。石山大輝(陸上)と西田 杏(水泳)の両旗手を先頭に、笑顔溢れる選手たちは観客の声援に誇らしげに手を振って応えた。最後にフランスの大選手団が「オー・シャンゼリゼ」の曲とともに紹介されると、会場は大合唱で一体となった。この舞台にたどりついたアスリートを称え、喜びを分かち合った。
1825年にエジプトから寄贈されたオリベスクが、この日はフランス国旗の色に染められた
フランス国歌「ラ・マルセイエーズ」に続き、国旗の掲揚。コンコルド広場の記念碑は、青、白、赤の光に照らされた。オーケストラの音楽に合わせ、オリンピックの熱狂を引き継ぐかのような光のショーが人々を魅了する。パラリンピックのシンボルマークである「スリーアギトス」が、ダンサーによってステージに表されると、世界のパラスポーツシーンをリードする各競技のトップアスリートたちが聖火をつないだ。
その灯を、フランスの代表選手5人が気球型の聖火台に点火。聖火台が高度を上げていくなか、色とりどりの花火が上がり、開会式を締めくくった。
自身初となるパラリンピックで旗手という大役を終えた石山は、「緊張よりもワクワク感が強かった。初めてのパラリンピックではあるが、守りに入らず攻めて攻めて、メダルを勝ち取れるような、勢いのある試合を見せたい」と活躍を誓った。
そして西田は、「オリンピックの競技会場としても使われていたコンコルド広場でパラリンピックが開幕し、バトンを渡されたようでとてもワクワクする開会式だった。『挑め、自分史上最強。』という日本選手団のスローガンのもと、今まで以上の自分たちを魅せられるようTEAM JAPAN一丸となって頑張ります!」と開会式を振り返りながら、レースに向け気を引き締めた。
開会式翌日の8月29日から本格的に競技がスタート、9月8日までの12日間にわたり、22競技549種目で熱戦が繰り広げられる。日本は、海外で行われる大会としては史上最多、145人の選手が出場し世界最高峰の戦いに挑む。熱狂の渦の中、パリを舞台に数々のドラマが生まれる。
(文・張 理恵/撮影・中島功仁郎)