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2024年9月1日

パリ2024パラリンピック競技大会 9/1【車いすラグビー】

日本は準決勝でオーストラリアを下し史上初の決勝進出!

好プレーの連発で準決勝突破に大きく貢献したキャプテン池透暢。最終ピリオド前には「自分たちのやってきたことに自信を持とう、やれば絶対に勝てる」と日本代表チームに声掛けした | 日本は準決勝でオーストラリアを下し史上初の決勝進出!|パリ2024パラリンピック競技大会 9/1【車いすラグビー】 | Glitters 障害者スポーツ専門ニュースメディア

好プレーの連発で準決勝突破に大きく貢献したキャプテン池透暢。最終ピリオド前には「自分たちのやってきたことに自信を持とう、やれば絶対に勝てる」と日本代表チームに声掛けした


9月1日、パリ2024パラリンピックの車いすラグビー競技は準決勝と5-8位決定トーナメントがシャン・ド・マルス・アリーナで行われた。
日本はオーストラリアとの準決勝に臨み、相手を追いかける苦しい時間帯が続いたが、第4ピリオドを同点で終えると延長戦を制し52-51で勝利。日本の車いすラグビー史上初のパラリンピック決勝へと駒を進め、銀メダル以上を確定させた。

「パリ・パラリンピックで一番目標にしているのは、準決勝で負けないことです。もう準決勝で負けるところは見せしたくないし、自分たちもそこで終わりたくない」
パリ2024大会メンバー発表後、日本代表記者会見で語った乗松聖矢の言葉は、全員に共通する思いだ。ついに、この強い決意を有言実行するときが来た。

アジア・オセアニア地域のライバル、オーストラリアとの準決勝。
対戦回数の多い日本とオーストラリアは、お互いの手の内を知り尽くす。
第1ピリオド序盤は、両者の戦いとしては比較的落ち着いたテンポで進んでいく。ティップオフを制したオーストラリアが先制点をあげ、そのまま相手の先行で試合が展開される。一瞬のチャンスを見逃すまいと、静けさの中でお互いを探り合う。
オーストラリアの絶対的エース、ライリー・バットが、パスキャッチの際にぽろりと落としてしまったボールを池 透暢がすかさず拾ってトライ。今度は日本が先行する形となり、12-12のイーブンで終了した。

オーストラリア代表の要であるライリー・バットの激しいディフェンスにもひるまず、落ち着いてボールを運ぶ池崎大輔 | 日本は準決勝でオーストラリアを下し史上初の決勝進出!|パリ2024パラリンピック競技大会 9/1【車いすラグビー】 | Glitters 障害者スポーツ専門ニュースメディア

オーストラリア代表の要であるライリー・バットの激しいディフェンスにもひるまず、落ち着いてボールを運ぶ池崎大輔

第2ピリオド。ベンチワークも動きを見せ、両チームともに2~3分置きに選手交代をして流れを引き寄せようと画策する。日本はターンオーバーを許すも、ほぼ互角の戦いは続き、24-25で試合を折り返した。

“いつも通り"、“平常心"。
悲願達成に向け沸き立つものはあるが、大事な一戦に挑むうえでのチームのメンタルも整えてきた。
「自分が持っている以上の力を出そうとすると空回りしてしまう。リラックスしながら、自分らしく、いかに自分のプレーを出すか。感情を出さずに平常心で今まで通りのプレーをする。そうすることで結果がでてきたという傾向がある」
自らが語ったように、池崎大輔は極めて冷静に努め、いつも以上に丁寧にボールを運ぶ。

第3ピリオド。日本のビハインドで試合は進むが、相手のわずかな綻びにすぐ反応する集中力はまったく切れていない。ただ、いつも通りを心がけながらも、少しこわばった表情も見受けられ、同ピリオドを35-36で終えたインターバルの円陣の空気は、ふだんより重いように感じられた。

運命の第4ピリオド。立ち上がりでオーストラリアは、日本のボーラーに対して強いプレッシャーをかけターンオーバーを奪う。依然として日本が追いかける展開。時間が進むに連れ、会場の応援もひときわ大きくなる。試合時間のこり3分に差し掛かろうとした時、ついに光が差した。相手のエラーから日本ボールになり、池崎からのパスをパラリンピック初出場の草場龍治がキーエリアで受け取りトライ。これで日本が44-44の同点にすると、両者ともに得点を奪い合いながら、あと1点をもぎとろうと懸命にくらいつく。結果的に日本がラストゴールをきっちり取り切ったところで、終了のブザー。47-47の同点で、3分間の延長戦へと突入した。

もう一度気持ちを整えて迎えた、延長戦のティップオフ。
キャプテンの池が、オーストラリアのクリス・ボンドに競り勝ち、日本に大きな48点目が入る。両者2点ずつを加え50-49。続く、オーストラリアの攻撃。ライリー・バットがキーエリアで待ち構えるボンドに投げた長めのパスを、ボンドの手前にいた池がキャッチ。そのままトライへと持ち込み52-50。池はここで「勝利を確信した」という。そうして、オーストラリアが残り4秒でゴールをあげるも、日本がインバウンドのボールをそのままキープして試合終了。52-51!
ノーサイドをコートで迎えた橋本勝也に池が駆け寄り、最高すぎる笑顔できつく抱き合った。心の底から健闘を称え合い、日本ベンチ、そして会場は歓喜の渦に包まれた。

円陣を組んで勝利に歓喜する日本代表。会場の大きな声援も日本の勢いを後押しした | 日本は準決勝でオーストラリアを下し史上初の決勝進出!|パリ2024パラリンピック競技大会 9/1【車いすラグビー】 | Glitters 障害者スポーツ専門ニュースメディア

円陣を組んで勝利に歓喜する日本代表。会場の大きな声援も日本の勢いを後押しした


東京パラリンピックでは、ほとんどプレータイムがなく「何もできずに終わった」と悔し涙をのんだ橋本。意識も環境も変え、歯を食いしばりながらパリまで3年間駆け抜けてきた。「今日の試合が今大会のカギになると思っていた。最後の最後、自分がコート上で勝利の瞬間を迎えることができて、今までやってきたことは間違ってなかったんだと感じた。決勝でもそのすべてを証明したい」。そして「自分たちが目指しているのは金メダルを獲ること」と、ふたたび気を引き締めた。

苦しい時間帯の方が長かった厳しい展開、「自分たちがやってきたことに自信を持とう。それをやるしかないし、やれば絶対に勝てる」そう声を掛け合い、自分たちの力を信じて戦ったと、池は試合を振り返る。
池崎は、「自分たちの粘り勝ち。気持ちの強さが実を結んだ」と勝因を語り、「やっと自分たちが目標としてきた舞台に立てる。そこで自分たちらしいラグビーをする。予選から一戦一戦、日本チームは強くなって成長してきた。その姿を明日の決勝の舞台で見せて喜びたい」と力を込めた。

歴史が変わった。
明日、日本の車いすラグビーに新たな歴史の1ページが刻まれる。

(文・張 理恵/撮影・中島 功仁郎)
 
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